セルビア語の基本(キリル文字とラテン文字)

セルビア語はスラヴ語派に属する言語で、ロシア語やチェコ語などと同じグループに分類されます。ただし、スラヴ語派の中でもセルビア語は南スラヴ語群・西グループに属するため、ロシア語やチェコ語と完全に一致するわけではありません。同じキリル文字を使い、一部で同じ単語を同じように使っているだけです。

一方で、ボスニア語、クロアチア語、モンテネグロ語は同じ南スラヴ語群・西グループであり、そもそもは同じ国であったことから、ほとんど同じ言葉を使います。日本の方言のような違いはありますが、セルビア語を話すことができれば、ボスニアやクロアチア、モンテネグロなどでもコミュニケーションを取ることができます。

セルビア語を話す人の数

純粋なセルビア語を話す人数は700万人程度とされていますが、上記の国を合わせると1500万人が使っている言語ということで、比較的マイナーな言語の1つでもあります。しかも日本ではほとんど使われることもないので、セルビア語学習をしようとなると、かなりハードルが高くなり、選択肢もあまりありません。

ちなみに日本在住のセルビア人の人数は200人程度ですので、日本国内でセルビア語を使う機会もほぼありません。それでも、セルビアに行ったときにセルビア語を少しでも話せれば、セルビア人との距離が縮まり、可能性が大きく広がります。ですので簡単な会話くらいは覚えておきたいところです。

キリル文字とラテン文字

セルビア語を学習するにあたって、最初に戸惑うのが2つの表記があるということです。セルビアの正式な文字はキリル文字といって、ロシア語の文字と同じような表記になります。ところが、街に出ればキリル文字だけでなく、ラテン文字も併記されています。

併記されていますというよりは、むしろラテン文字がメインで、それにキリル文字が併記されているというほうが正しいかもしれません。特に若い世代はキリル文字を嫌い、ラテン文字をメインに使っています。私たち日本人はラテン文字なら読めますが、キリル文字はまったく読めないので、その点は助かります。

そして、キリル文字とラテン文字はほぼ1対1の組み合わせになります。日本語のひらがなとカタカナの関係によく似ています。このため、私たちがセルビア語を学ぶときには、まずはラテン文字で覚えて、慣れてきたらキリル文字も覚えていくのがおすすめです。

セルビア語の発音と文法

セルビア語の発音は独特なアクセントがあるうえに、地域ごとに微妙に違いがあるので、完全に習得するのは簡単ではありません。ただし、中国語の四声のように、アクセントが間違っていたらまったく通じないということはなく、それなりに理解してもらえるので、細かな発音を気にする必要はありません。

英語のように読まない文字があるわけでもありませんし、文字の読み方が変わるということもないので、そういう意味ではとてもシンプルです。

ただ文法はかなり複雑で、名詞に7つの格があったり、動詞も変化するなど、慣れるまでは困惑します。ただし、これも先入観で「難しい」と思い込まずに、何度も繰り返して使い続けることで、いずれスムーズに話せるようになります。むしろ、失敗を恐れずに、何度も挑戦することが重要です。

最初はよく使う言葉の丸暗記でもかまいません。文法も知っていれば応用が効きますが、私たちが日本語の文法を100%マスターしているわけではないのと同じく、セルビア人だって文法を使いこなせるわけではありません。セルビア語学者を目指すのでなければ、とにかくまずは言葉を真似て何度も発音してみましょう。

このサイトではセルビア語の基本だけをお伝えしますが、そこから先に進むには、やはり実際にセルビア人と会話をすることが大切です。ぜひ実際にセルビアまで遊びに行って、たくさんの友だちを作ってみましょう。セルビア人は人をもてなすのが得意な人たちですので、きっとすぐに仲間になって、セルビア語レベルも上がるはずです。